「T-RackS Joe Chiccarelli Vocal Strip」だけで歌ってみたをボーカルミックスしてみた。〜 プラグインレビュー 〜

こんにちは。マサツムです。

曲で一番顔になる部分はボーカルです。

オケの完成度が良くても、歌の調整が悪いと楽曲すべてが台無しになります。

歌の調整は結構たくさんのポイントとなるエフェクトと調整があるので、初心者の方は戸惑う人も多いと思います。

しかし、エフェクトを分かりやすく調整しながら、良い歌調整ミックスに導いてくれる心強いプラグインがあります。

今回はボーカル専用チャンネルストリップ、IK Multimediaの『T-RackS Joe Chiccarelli Vocal Strip』の使ってみた感想を、わかりやすく簡潔(かんけつ)にまとめてみました!

T-RackS Joe Chiccarelli Vocal Strip 使い方レビュー

「T-RackS Joe Chiccarelli Vocal Strip」まずはひとこと。

余計なパラメーターはなく、シンプルで歌に必要な処理ができる!

「T-RackS Joe Chiccarelli Vocal Strip」の 特徴

  • 歌に必要なエフェクトの揃った、ボーカル専用のチャンネルストリップ。
  • 代表的な3種類のコンプを並列で使用可能。
  • 世界的なエンジニア/プロデューサー、ジョー・チッカレリ監修のプラグイン。

使ってみた感想

今回紹介するのは、IK Multimediaの『T-RackS Joe Chiccarelli Vocal Stripというチャンネル・ストリップです。

チャンネル・ストリップとは、いろんなプラグインがひとつになったツールで、この『T-RackS Joe Chiccarelli Vocal Strip』はボーカルの調整に必要なプラグインがいくつか搭載されています。

歌入りのミックスは、経験が一番です。

「オケとの馴染ませ方」と「歌がちゃんと聞こえる調整」はいろんなミックスしていく中で、対処法が身についていきます。

かけるエフェクトもたくさんあり、いろいろと大変なボーカルの調整ですが、簡単操作で分かりやすく良い調整ができるというところがこのプラグインの魅力です。

早速、歌に直接インサートして使ってみた

まず、GUIの見た目がかっこいい。
これは僕の中で作業する上で結構大事なポイントで、重厚なツマミとビンテージ感で楽しさとやる気が湧いてきます。

そして一番大事な音質ですが、どのエフェクトもナチュラル感が強く、歌の調整にはとても扱いやすい感触です。

さすがT-RackSシリーズでたくさんプラグインを作っている、IK Multimediaさんの安定感です。

コンプ3種類も特徴がしっかり分かれていて、コンプの扱いが分からない人も把握しながら調整できます。
MAIN」でしっかりコンプかけて、「RETRO」で味付けして、「HEAVY」でアグレッシブさを調整しながらまとめる、といった流れで使えば良いと思います。

コンプはすべて「AMOUNT」と「OUTPUT」のみで調整します。
MUTE」ボタンが便利で、それぞれの確認や必要ないものはそのままバイパスにできてとても親切です。

ほか、EQ、リバーブも質的にはかなり使えます。

ひとつずつ特徴も交えながら、使い方を説明していきます!

「T-RackS Joe Chiccarelli Vocal Strip」の 使い方

ルーティングは、まずは左の「INPUT」から入力信号が入り、こちらの順番のように音が流れて最後に「OUTPUT」から音が出力される、という流れを把握すると音作りが分かりやすいです。

T-RackS Joe Chiccarelli Vocal Strip 使い方レビュー

HPF」・・・ハイパス・フィルター。まずはハイパス・フィルターでローカットをして余計な低域をカットします。結構ゆるやかにかかる印象でした。
DE-ESS」・・・ディエッサー。主に「サ行」を発音する時に出る、耳に痛い高域の歯擦音を抑えます。「TYPE」で周波数男性の声(A)/女性の声(B)のタイプを切り替えて「AMOUNT」で効果の強さを調整します。とても簡単に歯擦音を抑えてくれますが、ディエッサーは周波数をチェックしながらの方が、より良い調整できるので少し扱いにくいかなと思いました。しかし、簡単に充分効果が発揮できて便利です。
MAIN PARALLEL COMP」・・・Urei 1176 をモデルに作られていて、コンプの基本的な効果をこれで作ります。すでに歌に合ったとても良い設定になっているので、強めにかけても気持ち良く整ってくれます。
RETRO PARALLEL COMP」・・・Fairchild 670 をモデルに作られていて、真空管の温かみ、ビンテージ感のサチュレーションが加わります。あまり強くかけすぎないで、気持ち程度の効果で使うのが良いと思いました。
HEAVY PARALLEL COMP」・・・UA 176 Tube-Tech CL 1B をモデルに作られていて、アグレッシブなコンプ感をコントロールできます。ジャンルにより使い分けが必要ですが、こちらのコンプもいい感じです。
EQ」・・・アナログモデリングのEQ。3つのどのツマミもとても良い効果が得られました。お好みで「PRE」(コンプ前)と「POST」(コンプ後)にルーティングを切り替えることができます。EQとしてかなり気に入っています。

空間系エフェクト」・・・ボーカルに適した空間系エフェクト。

リバーブ>「REVERB」で深さ「SIZE」でディケイ・タイムを調整。リバーブのタイプをプレート(A)/チャンバー(B)で切り替えることができます。残響音の質がとても良い、歌に合ったリバーブです。

<ディレイ>ECHO」で深さ「TIME」で反復の間隔をDAWBPMに合わせて調整。ディレイのタイプをテープ・エコー(A)/ピンポン・ディレイ(B)で切り替えることができます。細かく調整したくなってしまいますが、こちらもとても音質が良いです。

モジュレーション>MOD」で深さ調整。タイプをコーラス(A)/ダブラー(B)で切り替えることができます。細かい設定はできませんが雰囲気を作ることができます。どちらも歌にかける効果でよく使うので、あると便利です。

DRIVE」・・・サチュレーター。「DRIVE」で歪み(サチュレーション)具合を調整して、「COLOR」でそのキャラクターを明るく暗く調整できます。
DRY/WET」・・・原音とエフェクト効果の割合の調整ができます。

プリセットからエフェクトのかけ方が学べる!

今回のプラグインの説明で、ボーカル調整に必要なものがなんとなく分かったと思います。

ほかにも、「ダイナミクス系のEQ」「マルチコンプ」「エンハンサー」などかけて歌に磨きをかけていきますが、素材がよければ『T-RackS Joe Chiccarelli Vocal Strip』で充分良い調整ができます。

そして、用意されているプリセットを使えば「どのエフェクトをどのくらいの設定にすれば、こんな音になるのかぁ」というのが分かりとても参考になります。

ボーカルの調整は本当に大切な分むずかしさもあるので、どのタイプのコンプがどんな音になるのかいろんなパターンを頭に入れとくと良いと思います!

ココが好き!

MAIN PARALLEL COMP」がかなり優秀!

EQ」の調整が気持ちいい!

ひと画面でエフェクトを把握できる!

気になった点…

ディエッサー、サチュレーターはあるとありがたいですが、おまけ程度に…。

こんな方にオススメ!

  • DTMで歌入りミックスまでする人
  • 歌の調整がよく分からない人
  • 良い歌調整を学びたい人
  • IK Multimediaが好きな人
  • ジョー・チッカレリが好きな人
「T-RackS Joe Chiccarelli Vocal Strip」の まとめ

使ってみて、思ったことをまとめると‥

  • 歌にフィットしたとても良いコンプが作れる
  • 今後もEQ付きの歌のコンプとして使いたい
  • 歌調整のわからない人はプリセットから確実に勉強できる

そんな便利なツール、といった印象でした!

そして、歌調整ミックスしてみた感想ですが‥

余計な調整はしなくても、ボーカルの基本がしっかり作れる!

という結論に達しました!

基本が作れるといっても「これでOK!」のレベルまで持っていけます。
その段階まで、こんなシンプルに調整できるのはとてもいいアイテムです。
録音素材が良ければ、とてもナチュラルにプロの仕事ができます!

製品名に「T-RackS」と付いていますが、T-RackSのバンドルには含まれていないのでご注意ください。

今回は、「T-RackS Joe Chiccarelli Vocal Strip」を簡潔(かんけつ)に魅力をまとめてみました!

最後まで読んでいただきありがとうございました!!

マサツム