「転調」とは?上手な転調の方法を3つ紹介 〜 DTM音楽用語辞典049 〜

こんにちは。マサツムです。

作曲をたくさん続けていると、もうちょっとむずしいことや、「少し変わったことをしたい」「テクニックを使いたい」などの欲が出てきます。

そこでみなさんまず試してみたい技法が、転調だと思います。

作曲セオリーから少し外れる「技」ですが、聴いただけで分かりやすく、効果的な手法です。
しかし、むやみに使うと逆効果になり、楽曲クオリティの足を引っ張ってしまいます。

転調は効果的な方法がありますが、今回はその中から以下の3つ方法を紹介します。

  1. 調をズラす転調
  2. 近親調を変化させる転調
  3. 長調と短調を反転させる転調

作曲のネタに困っている方は、転調をうまく楽曲に取り入れると作曲の幅が大きく広がると思います

転調とは?

転調(modulation)とは、1曲の中で調(key)を変えることをいいます。

楽曲の中には調というものが存在します。
その調を元にコードメロディを乗せて組み立てていきになっていきます。

の中で調を変えると雰囲気がガラっと変わり、とても効果的に世界観を変えることができます。

個性をつけて、聴き手の耳を惹(ひ)きつけるためによく使われる手法ですが、やりすぎてしまうと曲の統一性転調をする意味がなくなり、逆に素人感が出てしまいます。

カラオケキーを変えるのは曲の音程ごと上げ下げをするので、転調ではなく移調といいます。

言葉と音 マサツムDTMブログ

調(key)とは、その楽曲の曲調と中心になるの音のことをいいます。基本的に曲調はメジャー(明るい)かマイナー(暗い)の2…

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上手に転調のする方法を3つ!

それでは世の中でよく使われる転調を3つ紹介します。

転調方法を覚えて、いろんな曲を聴いてみつけるのも面白いと思います!

① 調が少しずれる、わかりやすい簡単な転調

よく聴くポピュラー転調として、単純に半音あるいは全音だけ調がずれるという方法があります。
曲のクライマックスで、調が少し上がると、分かりやすく最後に盛り上がりを作ることができます。
この転調歌謡曲ポップス・ロックなどで、とてもよく出てきます。
特にJ-popでよく使われる転調です。

半音転調の例

転調の例

 

「曲の中にある世界が、丸ごと移動する」
そんな感覚になる転調です。

 

『愛をこめて花束を』Superfly

サスサビの “ 3分55秒 ” あたりで「G」→「A」に、1音上がって転調します。
分かりやすく、最後にグッと盛り上がる感じです。

『銀河鉄道999』ゴダイゴ

Bメロの “ 0分33秒 ” あたりで「E」→「D」に、1音下がって転調し、サビ前の “ 0分48秒 ” に今度は1音上に転調して、キーが「E」に戻ります。
つなぎのコードをうまく使って、サビで帰ってきた感覚になります。

 

② 近親調を関連させた転調

上記の半音or全音上がりの転調の他によく使われる転調が、平行調同主調という「近親調」のコードを使った転調です。
調(key)「C」で説明すると、「C」平行調「Am」で、その同主調「A」になります。

そしてこの平行調 同主調で出た「A」調(key)転調をします。

調(key)「C」の中で「A」ノンダイアトニックコードになるので一瞬世界観が変わります。

平行調のコード を 同主調にする転調の例

転調の例
転調後「A」ドミナント「E」になるので、転調前「E」を挟むことによって、キー「C」の時にノンダイアトニックコードが出たと感じますが、「A」調につながりやすいです。
そしてもうひとつよく使われる転調が、調「C」で説明すると、「D♯」転調するパターンです。

「C」同主調は「Cm」で、その平行調「D♯」になります。

そしてこの同主調 → 平行調で出た「D♯」調転調をします。

調を「C」の中で「D♯」はノンダイアトニックコードになるので、こちらも一瞬で世界観が変わります。

同主調 を 平行調のコードにする転調の例

転調の例
「C」トニックに戻る進行で「G♯」→「A♯」→「C」という進行はたまに使われます。
この進行を使って「D♯」転調すれば共通コードでうまくつながります。
ほかにも、ディミニッシュコードを使って、転調前転調後共通コードを作ってうまく転調するという方法などもあります。

「曲の暗かった箇所が明るく変わり、引っ張っていってくれる」
そんな感覚になる転調です。

『パプリカ』Foorin

サビ前の “ 0分45秒 ” に「A」→「F♯」に、平行調を同主調にする転調になります。
サビ前1小節で「F♯」になり、完全にサビに入る準備ができています。

 

③ メジャー感(長調)とマイナー感(短調)を反転させる同主調を使った転調

楽曲には明るい曲調のメジャーな曲と暗い曲調のマイナーな曲があります。
この真逆の世界観に変える、同主調を使った転調があります。

単純にキーとなるトニックのコードが、メジャー(長調)マイナー(短調)が反対になるのですが、転調してからドミナントサブドミナントをうまく絡めていくと安定した転調が表現できます。

同主調に変わる転調の例

転調の上手な例

 

「暗かった世界が、明るい未来に変わっていく」
そんな感覚になる転調です。

 

『While My Guitar Gently Weeps』The Beatles

セクションが変わる “ 0分50秒 ” あたりで「Am」→「A」に、転調します。
キーのトニックとなるコードがマイナーからメジャーになるので、かなりインパクトがあります。

 

そのほかの特殊な転調

全く関係のないコードに転調するということもたくさんあります。
例えば、クラシックのような楽曲はとても転調が激しいものが多く、こういった転調は歌ものには向いていません。
むやみに意味のない転調もあまり効果的とは言えません。
しかし、「クイーン」のように、感性でメロディーを追って転調しまくるという曲もあります。
これはメロディの動きと感情と転調がちゃんと意味があるので効果的ですが、なかなか狙ってできるものではありません。
日本のアーティストでも転調をうまく使っているアーティストはたくさんいます。
中でも僕は「ユーミン」の転調は本当に神がかっていると思います。

『Bicycle Race』Queen

転調もするし倍テンもするし、普通はついていけないですがボーカルの絶対的な存在感で楽曲を引っ張っていってくれてます。

『転調』の まとめ
転調というのは曲中に調が変わるということですが、その中でもコード進行の関係性に法則があるということでした。
おさらいすると‥
  1. 曲の中にある世界が、まるごと移動する「調をズラす転調
  2. 暗かったところが明るく変わる「近親調を変化させる転調
  3. 曲全体の暗さと明さが入れ替わる「長調と短調を反転させる転調
という効果のある転調の紹介でした。
この3つの転調方法はよく使われる方法ですが、他にもパターンはいろいろあります。
楽曲の調を映画の世界で例えるなら、「撮影する国=調」といった感じでしょうか?
撮影する内容は、その国にあった言葉や文化を元に作られていきます。
音楽もその調にあったスケールやコードを元に作られていきます。
映画でも撮影現場が変わって違う国のシーンが出てくると雰囲気がガラッと変わります。
その中で登場人物が映画の軸をちゃんと作り、ストーリーを進めれば、場面展開がたくさんあるとてもいい映画になると思います。
しかし、ただただいろんな国が出てきて内容もごちゃごちゃして、最終的に統一性がなかったら何を伝えたい映画なのかわからなくなります。
転調とはこういった効果によく似ていると思います。
転調を上手く使いこなすのが、プロ感を出すひとつの技だと思います。

今回は「転調」をわかりやすく簡潔(かんけつ)にまとめてみました!

「転調」って何?と聞かれた時に、今回の記事を参考にしていただければと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました!!

マサツム

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